地震から4年
阪神・淡路地域の多くの方々の5回忌にあたるこの日、各地で追悼の行事が行われた。私たち事務所の所在地、御菅地区(御蔵通と菅原通)。ここでも「阪神・淡路大震災犠牲者慰霊法要」が行われた。会場は昨年と同じく菅原市場の駐車場。法要の始まる午前10時30分、空が高く太陽光線が眩しく照らす。
主催する『全国曹洞宗青年会』、『兵庫県第二総務所曹洞宗青年会(兵二曹青)』の僧侶をはじめ、全国から約30名の僧侶に来ていただき、犠牲者の霊を慰めて下さった。ご家族のお位牌、遺影を手に会場を訪れる方も少なくない。おそらくこの会場に集まった全ての人が、それぞれの想いと思い出を持ち寄り、祭壇に奉っていた事であろう。私たちのように地震の後に神戸に来た県外ボランティアも、この土地のいにしえを築いた方々に敬意と哀悼の意を持って祭壇に向かう。
兵二曹青会長、平岩浩文師を導師として、僧侶達が参列者の心をお経にして唱える。お経の中で、この御菅地区で犠牲となった方々の俗名が読み上げられる。今回初めてこの地を訪れるた尼僧(女性の僧侶)、5名の姿が見られた。東京から駆けつけて下さった尼僧達は、昨年の慰霊法要の際に奉ったお位牌をこの数ヶ月の間毎日お経を唱え、慰めて下さっている。
また、毎年来て下さっている僧侶の方も少なくない。この時期だけでなく、年に4回5回と被災地に足を運び、法話の会や托鉢、ボランティア活動をされている熊本県天草の荒木正昭師をはじめ、SVA(曹洞宗国際ボランティア会[編注・現シャンティ国際ボランティア会]・本部東京)神戸事務所で被災地支援をしてきた県内外の僧侶の方々。参列者、僧侶、それぞれがそれぞれの想いを胸に、手を合わせ、祭壇に向かう。式典の終わりは、福岡県より来られた狩野俊猷師による法話。心から溢れ出す被災地へのエールに参列者は静かに耳を傾けた。
式典の終了後、御菅地区のご婦人方によるうどんの炊き出しが行われた。1月の寒空の下で参列された方々にとって、冷えた体を温める何よりのご馳走と成ったであろう。その後も断続的に焼香を希望する人が会場を訪れる。法話をしていただいた狩野師と兵庫商会田中社長、まち・コミ小野が祭壇の側に付いて参列者に挨拶を続け、線香をあげる人の足は、日暮れまで続いた。
[了]
◉初出誌
『月刊まち・コミ』1999年2月号(阪神・淡路大震災まち支援グループ まち・コミュニケーション発行 1999年2月1日)掲載を再録。
元記事リンク:『月刊まち・コミ』1999年2月号
#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。
◉データ
阪神・淡路大震災御菅地区犠牲者一周忌合同追悼式(仏式無宗派)
開催日:1999年1月17日 午前10時
場所:菅原市場駐車場(兵庫県神戸市長田区菅原通四丁目)
事務局:まち・コミュニケーション