阪神・淡路大震災で失われたモノ、残されたモノ、生まれたモノ…そんな記憶を記録します。

青池 憲司 監督作品 映画『宮城からの報告—こども・学校・地域』製作委員会

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コラム・撮影報告

石巻撮影報告
12/24

復興ワンダーランド

text & photos by 青池憲司

2011.12.24  up

冬休み、積雪

石巻の小学校は22日に2学期を終え、冬休みに入りました。前夜半に降った雪が積もり(7cm)、冬至の朝はまちも門小の校庭も白一色でした。こどもたちは、溌剌と風景の主役をたのしんでいます。

冬休みになっても、撮影はつづきます。こどものあそび、保護者や地域の人びとへのインタヴューなど、撮るべき対象は無尽です。なかでは、こどもの追っかけがいちばん難儀です。一筋縄ではいきません。まず、がきども(敬称です、為念)が群れる場の探索ですが、これが存外にむつかしい。その住いが仮設住宅や借り上げの民家などで、在地も市内遠近各所バラバラです。震災まえとおなじ家(生活圏)に住んでいるこどもは全校児童約230人のうち2割くらいです。災害によるコミュニティ寸断の影響は、おとなづきあいのみならず、こどもづきあいにもおよんでいます。放課後の群れが見えにくい。冬休みの毎日は張込みの毎日になりそうです。

コミュニティFM「ラジ石」へ

当地のコミュニティFM「ラジ石」(ラジオ石巻 http://www.fm764.jp/)の「Real VOICE」という番組に出演しました。パーソナリティは松村豪太さん。「ISHINOMAKI 2.0」のメンバーであり「復興Bar」のマスターです。

「ISHINOMAKI 2.0」については、いまさらわたしが紹介することはありません。よく知られています。まだ出会ってない方は http://ishinomaki2.com/ をご覧ください。わたしは、この集団のクリエイティブな実務に注目しています。

「Real VOICE」で、わたしは、被災地KOBEのコミュニティ放送「FMわぃわぃ」の創世期のことを、ちょっとだけ早口で喋りました。(FMわぃわぃ http://www.tcc117.org/fmyy/index.php)まだ局名もない生まれたての頃から「FMユーメン」の時代のことです。リクエスト曲をといわれて、Petula Clarkの「Downtown」をかけてもらいました。この歌は「FMユーメン」の在地、野田北部の人たちといっしょにつくった番組「復興ワンダーランド」のオープニングテーマでした。

番組タイトル「復興ワンダーランド」は、復興の先にまだ見ぬワンダーランドをめざすのはもちろんだが、復興過程の日日にこそワンダーなときを!自粛などしないでたのしいことをどがちゃかやろう、というものです。そして、歌「Downtown」には、生き活きとした開放感につつまれたtownを新成したいという思い、「まちば」の再生をというねがいがこめられています。こう書いてきて、わたしは、ノスタルジックになっているわけではありません。被災地KOBEと被災地石巻は、わたしにとって、ともに「いま」なのです。

ところで、焼酎の25度はやはり生で呑むのがうまいですね。このところお湯割りで呑んでいたのですが、以前のように生にもどしました。割って呑むなら35度。話がだんだんヨレテ(酔れて)きました。寝ます。おやすみなさい。

#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。

青池憲司

ドキュメンタリー映画監督。震災後、親交のあった長田区の野田北部・鷹取地区に入る。"野田北部を記録する会"を組織し5年間に渡りまちと住民の再生の日々を映像で記録。
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』全14部」(1995年〜99年,山形国際ドキュメンタリー映画祭正式招待作品)を発表、国内外で上映。2002年「日本建築学会文化賞」受賞。

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