阪神・淡路大震災で失われたモノ、残されたモノ、生まれたモノ…そんな記憶を記録します。

青池 憲司 監督作品 映画『宮城からの報告—こども・学校・地域』製作委員会

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コラム・撮影報告

石巻撮影報告
1/9

卒業アルバム

text & photos by 青池憲司

2012.1.9  up

宝もの

小寒を過ぎ、寒中お見舞い申し上げます。撮影隊は、4日に帰石し、5日から3学期の撮影に入りました。上京中(?)の1週間(29日〜3日)ほどは、東京スタッフとの打合せや、ワタクシゴトのつきあいやで、めまぐるしく過ぎました。つまりは、暮も正月もよく呑んだということです。(歳の初めの倣いとて・・・)

5日は、門脇小学校も門脇中学校も始業式でした。こどもたちは、夜明けに降った雪を踏んで登校しました。震災当時門小6年生で、いま門中1年生にうれしい贈りものがありました。通例なら6月ごろ配布される「卒業アルバム」が、この日手渡されたのです。生徒たちは、7か月遅れのアルバムを見ながら、ひととき門小っ子にもどっていました。校区にあった住いを津波で流されたこどもたちにとって、これは「宝ものになりました」

アルバムを制作した伏見龍一郎さんの写真館は市内中心部にあり、2メートルちかい津波で壊滅的被害を受け、児童の画像を保存していたパソコンも流失しました。そのごヘドロのなかからPCを見つけだし、東京と大阪の企業の協力で、データを復元して完成させたアルバムです。学校行事の撮影ではよく一緒になり、カメラ・ポジションを競い合った伏見さんですが、この日は、「肩の荷が下りました」と満面の笑顔でした。

4年生の学活の時間に、飛川ユリ先生がこどもたちに、「3学期はとても短く、あっという間にすぎてしまいます。行事もたくさんあります。一日一日を気を張ってむかえ、大事にすごしましょう」と、話しかけました。

そうです、わたしたち撮影隊もその心構えで3学期をはじめます。

#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。

青池憲司

ドキュメンタリー映画監督。震災後、親交のあった長田区の野田北部・鷹取地区に入る。"野田北部を記録する会"を組織し5年間に渡りまちと住民の再生の日々を映像で記録。
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』全14部」(1995年〜99年,山形国際ドキュメンタリー映画祭正式招待作品)を発表、国内外で上映。2002年「日本建築学会文化賞」受賞。

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