阪神・淡路大震災で失われたモノ、残されたモノ、生まれたモノ…そんな記憶を記録します。

青池 憲司 監督作品 映画『宮城からの報告—こども・学校・地域』製作委員会

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コラム・撮影報告

石巻撮影報告
1/30

学校施設の復興

text by 青池憲司

2012.1.30  up
被災した門脇小学校(宮城県石巻市・門脇 2011年7月21日)
昨夏、被災した門脇小学校と門小の先生方 (宮城県石巻市 2011年7月21日) [拡大]

学校の復旧整備と学校再編

ここ数日、日本列島は冷えきっていますが、1月の石巻も例年より雪が多く寒い、と地元の人たちはいいます。27日は、最高気温が氷点下1.5℃で今季初の真冬日になりました。

3学期がはじまり門脇小学校保護者のいまの関心は、学校施設がこれからどうなるのか、です。24日、門脇小が間借りしている門脇中学校の体育館で、「学校施設災害復旧整備計画」に関する地域説明会が開かれました。東日本大震災で大きな被害を受けた小学校の復旧整備と学校再編に関する説明会で、市内7地区で開かれる初回が門脇地区でした。市教育委員会と門脇小学校保護者および地域住民約100人が出席し、なかには、わたしたち撮影隊と顔なじみの人も多数いました。

市教委の提案は「門脇小を門脇中学校校舎に併設する」で、理由は、

  • 1. 門脇小校舎は津波と火事で大破し使用不能
  • 2. 従来の学区の大部分が記念公園の設置で非可住地域になり児童数が大幅に減少
  • 3. 新設のための用地確保が困難

よって、現地での復旧はむつかしい、というものです。併設の場合、中学校施設の一部を小学生規格に整備するほか、特別教室などの増築や耐震補強工事を実施する、工事期間は、門脇中と石巻中の校庭にプレハブ校舎を建設して対応する、ということです。

この提案にたいする保護者住民の意見は、
「門脇中と併設するには、いまの敷地と校舎では狭いのではないか」
「小学校どうしの統合の方が工事の必要がなくスムーズ」
と、併設に反対し石巻小学校との統合をのぞむ声。
「門脇中は高台にあり、震災時でも安心できる」
「小学生にとって、仲間や校舎が変わることはおとなが思うより大きな環境の変化。こどものためには現在の校舎を使用するのがよい」
と、併設に賛成する声。

意見は大きく二つに分かれましたが、少数意見として、「提案の賛否を問うには保護者住民と教委の話し合いが少ない。目前の対応ではなく、大きな観点からこどもの教育環境を考えるべきで、そのためには話し合いをもっと重ねたい」があり、共感の拍手が起りました。市教委は今後アンケート調査などでも保護者住民の意向を集め、2月末を目標に方針を決めるということですが、さて。門脇町、南浜町の復興計画とともに門脇小学校の今後に注目していきます。

きょう気がついたのですが、日脚がながくなりました。日没時間が午後5時過ぎになったのです。これはうれしい、ほんとにうれしい。

#文中に登場する名称・データ等は、初出当時の情況に基づいています。

青池憲司

ドキュメンタリー映画監督。震災後、親交のあった長田区の野田北部・鷹取地区に入る。"野田北部を記録する会"を組織し5年間に渡りまちと住民の再生の日々を映像で記録。
「記憶のための連作『野田北部・鷹取の人びと』全14部」(1995年〜99年,山形国際ドキュメンタリー映画祭正式招待作品)を発表、国内外で上映。2002年「日本建築学会文化賞」受賞。

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