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東北地方太平洋沖地震・東日本大震災
社会データで見る概要

  • ほとんどの情報は確定値ではなく、日々更新され発表されています。最新の正確なデータは、各出典元の機関・リンク先で確認下さい。
湾内に乗り上げた大型貨物船。(岩手県釜石市 2011年7月15日)
湾内に乗り上げた大型貨物船。(岩手県釜石市 2011年7月15日) [クリックで拡大]
  • 地震名
  • The Earthquake Name
  • 災害名/一般呼称
  • The Earthquake Disaster Name
  • GLIDE Number(世界災害共通番号)
  • 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震[10]
  • The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake
  • 東日本大震災[2]
  • The Great East Japan Earthquake[3]
  • EQ-2011-000028-JPN[4]

    出典元

[96]被災者等の状況,復興庁,2012年

[16]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の被害状況と警察措置,警察庁緊急災害警備本部,2012年4月25日

[23]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)(第145報),総務省消防庁災害対策本部,2012年3月13日

[35]平成23年(2011年)東日本大震災の被害状況及び対応について(第116報),厚生労働省,2012年3月23日

[2]「菅内閣総理大臣記者会見 平成23年4月1日(金)」首相官邸,2011年4月1日

[3]e-Gov,総務省,2011年

[4]GLIDE Record - Asian Disaster Reduction Centre (ADRC/アジア防災センター)

[10]「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第2報),気象庁,2011年3月11日

[15]平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震にかかる災害救助法の適用について(第11報),厚生労働省社会・援護局総務課災害救助・救援対策室,2011年3月24日

[48]津波・原発被災地域の2005年人口地図と人口数推計,埼玉大学教育学部人文地理学谷謙二研究室

[96]東日本大震災復興対策本部,内閣,2011年

解説

    参考・調査データ

    地震名/災害名/一般呼称  The Earthquake Disaster Name

  • 正式名称 

  • 地震名 - 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 :  3/11気象庁命名
  • 災害名/一般呼称 - 東日本大震災 : 4/1持ち回り閣議了解
  • The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake : 11/3 Japan Meteorological Agency
  • The Great East Japan Earthquake : 1/4 Government of Japan
地震名

気象庁は顕著な災害を起こした自然現象について、災害における経験や貴重な教訓を後世代に伝承するとともに、防災関係機関等が災害発生後の応急、復旧活動を円滑に実施するという考えに基づき命名している。

地震名の命名原則は、「元号(西暦年)+地震情報に用いる地域名+地震」と取り決めている。

2011年3月11日14時46分頃に発生した三陸沖の地震について、気象庁は同日16時20分の『平成23年3月11日14時46分頃の三陸沖の地震について(第2報)』において、「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(英名:The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake)と命名したと発表した[s2]

災害名/一般呼称

菅直人内閣は、2011年4月1日の持ち回り閣議において、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害について、「東日本大震災」(英名:The Great East Japan Earthquake)と命名することを閣議了解し、同夜の総理大臣記者会見において発表された[s3]

この災害名命名により、その後に制定された法律名にこの災害名が用いられ、その法律文の中でも災害の定義として記されることとなった(例えば、東日本大震災復興特別区域法(平成二十三年十二月十四日法律第百二十二号)等[s4]

地震災害の命名を巡る各社の動向

【3月11日(金曜日)】
気象庁はこの地震について、地震発生直後のリリースでは三陸沖の地震と仮称していたが、その規模の大きさを鑑みて同日16時20分に平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震と命名した[s2]。朝日新聞は3月11日午後に発行した号外で東日本大地震と記した。

【3月12日(土曜日)】
この東北地方太平洋沖地震と津波、そしてこれに伴う原子力発電所の事故による災害の一連の災害名について、翌3月12日の朝刊でマスメディア各紙は、それぞれ独自に命名し使い始める。ここから4月1日までのちょうど3週間、同じ災害を報道する上で異なる名称が乱立。混沌の状態の始まりとなった。

朝日新聞は、前日の号外と地震翌日の朝刊早刷り版で使用していた東日本大地震を、朝刊の最終版では独自に命名した呼称・東日本大震災へ変更し、一面の見出しに大きく掲出した。これは時間と共に判明していった被害の大きさと広がりから導かれた、阪神・淡路大震災以来の「震災」であるとの宣言だった。

この経緯について同社は、次のように記している。

報道・編成局のフロアでは「今回の地震を朝日新聞は何と呼ぶか」という議論が始まっていた。編集センターのデスクは、「東北大地震」派「東日本大地震」派で真っ二つ。最後は紙面の責任者であるゼネラルエディター・西村陽一のひと言で決まった。「東日本大震災でいく。広がりを考えれば『東日本』、深刻さを見れば『大震災』だ」

#「朝日新聞社のCSR推進活動『読者とともに 2011』そのとき朝日新聞は〜東日本大震災」asahi.com(201年5月11日閲覧)[s5]

一方、毎日新聞はこの日の朝夕刊で東北沖大地震と、読売新聞と日本経済新聞は朝刊から東日本巨大地震と、産経新聞は朝刊から東北・太平洋沿岸地震と命名し使用した。共同通信、中日新聞(東京新聞)、西日本新聞、河北新報は朝刊から、そしてTBSテレビは東北・関東大地震と称していた。一方で河北新報は夕刊から東北・関東大地震東日本大震災へと変更した。

【3月13日(日曜日)】
地震から2日目となる日曜の朝刊からは、東日本大震災派が増えてくる。前日まで独自呼称を使用していた毎日新聞、産経新聞、共同通信、中日新聞、西日本新聞が東日本大震災へと変更し、フジテレビ、文化放送も番組名などでこれを使用し始める。

こうして全国紙3紙(朝日、毎日、産経)と広域のブロック紙3紙(河北、中日/東京、西日本)、そして全国の地方紙が加盟する共同通信が東日本大震災派となったことで、一気に多数派の地位を確立することとなった。

一方でテレビ朝日は読売と日経が使っていた東日本巨大地震を、日本テレビは東日本大地震を使い始める。

【3月14日(月曜日)】
この日からNHKは、独自に命名した東北関東大震災で用語を統一して積極的に使い始めた。TBSテレビは、この日から東北・関東大地震東日本大震災と多数派に変更する。

【3月16日(水曜日)】
テレビ朝日が東日本巨大地震東日本大震災と変更。地震後の最初の発売週を迎えた週刊誌勢は、東日本大震災を『週刊文春』3/17発売号(文藝春秋社)、『サンデー毎日』3/18発売号(毎日新聞社)が使ったが、朝日新聞社の『週刊朝日』3/18発売号は、NHKの命名した東北関東大震災を使用し、本紙とは別路線を独自に選択した。

【3月18日(金曜日)】
地震から1週間を迎える3月18日(金曜日)の時点では、依然として東日本大震災(朝日新聞ほか)、東日本巨大地震(読売新聞、日経新聞)、東日本大地震(日本テレビ)、東北関東大震災(NHK)の4つの派閥に落ち着いてきたが、以前として混沌といった様相。

【3月19日(土曜日)】
日本経済新聞が、朝刊から東日本巨大地震東日本大震災へと変更。

【3月23日(水曜日)】
『アサヒグラフ』3/23発売号(朝日新聞社)がこの復刊号で、『週刊朝日』と同じくNHK派の東北関東大震災を使用し、こちらも本紙とは別の独自路線を歩む。

【3月25日(金曜日)】
独自組の日本テレビが東日本大地震東日本大震災へと変更し、状況は大きく動く。この時点で東日本大震災(朝日新聞ほか多数)の多数派と、独立系の東日本巨大地震(読売新聞)、東北関東大震災(NHK)の3つに絞られた。そしてこのまま読売新聞とNHKは、決して諦めることなく頑なに我が道を往くこととなった。

【4月1日(金曜日)】
ついに命名争いに終止符が打たれたのは、地震発生3週間目の4月1日のことだった。菅直人内閣が持ち回り閣議において、災害名を東日本大震災と命名することを閣議了解し、同夜の総理大臣記者会見において発表したのだ[s3]。こうして朝日新聞命名の独自名詞が公式に採用されることとなり、NHKは同日午後の放送から東北関東大震災東日本大震災へ、読売新聞は翌4月2日朝刊から東日本巨大地震東日本大震災へと変更し、ようやくマスメディアでの用語統一が図られた。

記号としての「3.11」

他にも一般では3・11大震災という、日付を含んだ呼称も使われている。自然発生的に広がったもので、地震の翌日にはインターネットのブログなどで使われ始めたことが確認できる。変容形として、単なる3.11などの日付・数字のみの表記での記号としての使用も多い。「3月11日」という日付は、日本人にとって8月6日(広島原爆投下日)、8月9日(長崎原爆投下日)、8月15日(玉音放送日)などと同じように、日付だけで意味が通じる一つの記号となった。

これまで日本では、三八豪雪(昭和38年1月豪雪)などのようないくつかの水害や雪害を除いては、災害名を日付の数字で呼称する事例はほとんどなかったのではないだろか。

例えば1995年1月17日の阪神・淡路大震災では、追悼催事などで「117」の日付の形にろうそくを灯すなど、震災の代名詞・記号としての使用例は見られた。しかし文語・口語の文脈の中では、"震災"そのものを指す場合の単語として使われたことはなかった。

過去に使用例もないのに、なぜ今回は記号として日付の数字が使われたのだろうか。あくまで推測であるが、これは2001年9月11日にアメリカで発生したアメリカ同時多発テロ(世界貿易センタービル/ペンタゴン航空機突入、ユナイテッド航空93便墜落事件)からの影響が強くあることは確かだろう。この事件の呼称は一般的に、9.11テロ、9.11、September Eleventh、Nine Elevenなどの発生日の日付の数字で呼ばれているということがある。

また11日という同じ日付から導かれるイメージと、被害が広域で同時多発的であることと被災者の多さや、津波や原発事故とそれによる国内や世界に及ぼした衝撃や影響の大きさのイメージが、無意識の中にも重なったのかもしれない。

また「3.11」(さんいちいち/さんてんいちいち)という名詞を発話した場合の、日本語発音の語呂の良さもあるだろう。例えば語呂で考えると2004年10月23日新潟県中越地震を、これまで10.23(いちれいにいさん/じゅってんにいさん)震災などとは呼称してこなかった。語呂がうまく合わなかったり、長い文字数ということもあるだろう。

地震名の「東北地方太平洋沖地震」よりも災害名の「東日本大震災」よりも、「3.11」は短く地震や津波や原発事故など様々な情報を包含し表象する記号となり、その発生日が人々に記憶され刻まれるものとなった。

3・11大震災は、多くの書籍や雑誌の特集タイトルや、日本テレビ「NNNドキュメント」などのテレビ番組の特集タイトル、河北新報や福島民報の震災特集の連載名として、広く使用されている。

海外の呼称

海外ではJapan earthquakeのように、各国語で「日本地震」といった意味の単語で伝えられている。東日本や東北、岩手、宮城などの地域名は国際的な知名度がないため、ほとんど用いられなかったようだ。一方で福島という地名は、東京電力福島原子力発電所事故を象徴する記号としての「Fukushima」が世界に発信された。

米国議会図書館が作成した東日本大震災に関する件名標目表(LCSH)の作成過程では、多くの用例の変種が確認されている。

こうした海外の反応は、日本のメディアがこれまで海外で発生した災害を伝えてきた事例で考え合わせることもできる。

例えば2011年2月22日にニュージーランドで発生したカンタベリー地震/クライストチャーチ地震を、日本のメディアはニュージーランド地震として報じていた。2009年4月6日のイタリアのアブルッツォ地震/ラクイラ地震は、日本ではイタリア中部地震、1999年9月21日の台湾の921大地震/集集大地震は、日本では台湾中部地震として伝えられた。

しかしこうして災害などの一つの事象についてを伝える際に国やメディアによって名称がいくつも生まれることは、報道による興味・関心の差が生まれるといった程度わかりやすい問題の発生に留まらないという。複数の名称が存在する混乱は、被災情報の基本的な収集やアクセスに手間が掛かることとなり、それは多国間、組織間の情報交換や意思疎通、調査研究などの共有が困難になることであるという。結果、救援活動や復興支援活動にまで影響がおよんでくる。

こうした懸念により2001年の国際災害情報専門家会合で、「世界災害共通番号(GLIDE:Global unique disaster Identifier)」の運用が提唱され、大規模な自然災害が発生した際にアジア防災センター(ADRC:Asian Disaster Reduction Centre)と国連人道問題調整事務所(OCHA・ReliefWeb)により、GLIDE Numberが付記されるようになった。

【詳細:阪神・淡路大震災 概要 GLIDE Number

東日本大震災のGLIDE Numberは、EQ-2011-000028-JPNである。 EQ=地震、2011=発生年、000028=発生年の発生順、JPN=発生国、という命名規則である。

  • メディアでの様々な頻出呼称例 

  • 東日本大震災 : 3/12m朝日新聞,3/12e河北新報,3/13m産経新聞,毎日新聞,共同通信,中日新聞,西日本新聞,フジテレビ,文化放送,3/19m日経新聞,3/14TBS,週刊文春3/17発売,サンデー毎日3/18発売,FRIDAY,3/25日本テレビ
  • 東日本巨大地震 : 3/12m〜4/1e読売新聞,3/12m〜18e日経新聞,3/13〜15テレビ朝日,日経アーキテクチュア3月25日号
  • 東北沖大地震 : 3/12m〜e毎日新聞
  • 東北・関東大地震 : 3/12m共同通信,中日新聞,東京新聞,西日本新聞,河北新報,TBS
  • 東北・太平洋沿岸地震 : 3/12m産経新聞
  • 東日本大地震 : 3/11号外 朝日新聞,3/13〜3/24日本テレビ
  • 東北関東大震災 : 3/14〜4/1午後 NHK,週刊朝日3/18発売,アサヒグラフ3/23発売
  • 3・11大震災 : 河北新報出版センター,福島民報-特集,日本テレビ「NNNドキュメント」,『法学セミナー』
  • Japan earthquake : 英語圏メディア(BBC)
  • The Japanese Earthquake : 英語圏メディア(The New York Times紙)
  • Japan Quake : 英語圏メディア(Bloomberg)
  • Japan disaster : 英語圏メディア(CNN)
  • Japan earthquake and tsunami : 英語圏メディア(ABC News)
  • Tohoku Earthquake and Tsunami, Japan, 2011 : The Library of Congress(米国議会図書館件名標目表:LCSH)
  • Great Eastern Japan Earthquake : Japan Times
  • Tohoku-Kanto earthquake : Japan Times
  • Tohoku-Pacific Ocean Earthquake : 日本国外務省
  • Terremoto in Giappone : イタリア(CORRIERE DELLA SERA紙,La Stampa紙)
  • Terremoto giappone : イタリア(CORRIERE DELLA SERA紙)
  • SISMA IN GIAPPONE : イタリア(LA7)
  • Terremoto en Japón : スペイン(ELPAIS紙)
  • Japonya’daki deprem : トルコ(Milliyet紙)
  • Japonya'da yaşanan facianın ardından : トルコ(Radikal紙)
  • 东日本大地震 : 中国(人民日報紙)
  • 日本大震災 : 韓国(聯合ニュース)

註:m=朝刊、e=夕刊

  • 米国議会図書館調査による変種用例 

  • Great East Japan Disaster, Japan, 2011
  • Great East Japan Earthquake, Japan, 2011
  • Great Tohoku Earthquake, Japan, 2011
  • Great Tohoku Kanto Earthquake, Japan, 2011
  • Northeast Region Pacific Ocean Offshore Earthquake, Japan, 2011
  • Pacific Offshore Tohoku Region Earthquake, Japan, 2011
  • Tohoku Pacific Ocean Earthquake, Japan, 2011
  • Fukushima Nuclear Disaster, Japan, 2011
  • Variants sources
    • 2011 Tōhoku earthquake and tsunami : Wikipedia
    • Japan earthquake 'Tohoku.'  : Los Angeles Times
    • 2011 Tohoku Earthquake and Tsunami : RMS.com
    • Great Tohoku Earthquake : Gakuranman.com
    • Great East Japan Earthquake : Washington Post
    • Tohoku Pacific Earthquake : OECD.org
    • Great Tohoku Kanto Earthquake : inkworldmagazine.com
    • Great Tohoku Kanto Earthquake and Tsunami : HUFFPost Denver
    • 2011 Tohoku Pacific Ocean Earthquake : 文部科学省
    • Great East Japan Disaster : colintyner.wordpress.com
    • The Fukushima Daiichi nuclear disaster : Wikipedia

        風評被害

    風評被害

    風評被害とは、危ないという「風評や噂、デマに過ぎない」話によって、安全であるものが経済的な被害を受けること。

    風評や噂、デマそのもののことではない。また原子力発電所事故の際に放出された放射性物質に汚染されたものが流通、または出荷停止となったことの経済的な被害のことではない。

    東日本大震災の風評被害
    • 東日本大震災の風評被害分類 

    • 海外への影響
    • 農水産物への影響
    • 被災地域への影響

    #関谷直也 東洋大准教授 2011年

    この震災による風評被害の現象は、「福島第一原子力発電所の事故を怖がっているの心理的な様子のこと」(関谷・東洋大准教授)で、メディアの報道を受けて必要以上に不安に感じる人々の行動が、結果的に福島県や被災東北地方各県に被害を与える様相である。

    一方で今回の風評被害は、その境界線があいまいな部分も存在するという。それは被災地内の農魚産物や工業製品の中にも、安全な物だけではなく、実際に汚染された物も存在しているためだ。

    その安全と汚染を分ける指標となるのが、放射線量計測値である。食品中に含まれる放射線量を計り、その算出された値が国が定める残留規制値以下かどうかで、出荷ができる物かどうかが判断される。その仕組みの中で例えばごく微量の値が計測されると、それが安全値以下の値であっても計測されたということは事実で残り、その意味では風評(噂)ではないとの解釈もすることはできる。

    また放射線が人体に与える影響も高齢者と乳幼児では異なる事もあるため、その安全値が残留規制値以下であっても、できるだけ乳幼児は計測値が少ないものに接した方が良いという意見がある。

    そうした境界線に、あいまいな部分が存在しているのが現在の状況。しかし普通に生活していても、日常の自然界でも微量の放射線を浴びている。例え科学的知見により決定された国際基準や国内法で安全であると規定された値でも、不安に感じる人はどこまでも怖がり続けるのが人の心理だという。だがそのような不安な心理状況になることも特別な様子ではなく、当然の心理であるという。

    #以上、東洋大学社会学部・関谷直也准教授による解説より。

    『Dig「風評被害はなぜ起きるのか? その心理と実態を学ぶ」』[TBSラジオ 2011年4月18日放送]

    差別という人権問題

    風評は、経済的被害を与えるだけに留まらない。表面的な報道に過敏に反応した人々は、科学的知見とは無関係な感情論で動いた。そうした動きは、世界だけではなく国内各地からも行動や事件が報告されている。

    在日外国人の中には、日本から避難する者も少なくなかった。各国は日本への渡航を自粛し、農産物の輸入にも制限を掛けた。日本国内各地でも川崎市、京都市、福岡市、日進市、沖縄などで、一般の人たちも不安にさいなまれての感情的な行動が見られた(下記、風評関連記事)。

    各報道機関による取材

    科学的知見を無視して、被災東北地方や福島県産というだけで、その農産物や工業製品を拒否したり避けたりする行動や発言が相次いでいる。しかしこうした科学的知見を無視した動きや発言を、個人の内面や家庭内に留まらず外で実際に行ってしまうことは、もはや風評被害ではない。これは明らかな東北、福島への差別という人権問題である。この差別は市井の市民の間のみならず、全国の自治体首長の判断の中にも見てとれる。

    国や行政の情報提供のあり方

    ジャーナリスト・岡庭昇氏は風評に影響された行動について、同時に国や行政が情報隠しをしていないか等、市民の判断材料になる情報提供のあり方についても注視する必要があると提起している。

    風評被害とは体制が(つまり官僚独裁が)、隠し通して来た情報が明らかになろうとするとき、それを是非もなく(つまり根拠を示さず)打ち消す暴力的なムード言語である(というように、かねてわたしの邪推は定まっている)。(中略)風評被害という言い方がマスコミに登場したら、まず警戒することだ。独裁に都合の悪いどんな事実が、今回は隠されているのだろうかと。

    #週刊岡庭昇 32 〜 風評被害という呪文(2011.7.18記) - 志木電子書籍のブログ 2011年9月13日

    • 関連リンク・震災がれき

    • がれきと日本人(仮) - togetter:がれきを受け入れないゼロリスク自治体市民への批判と、そういう社会がつづけば未来はどうなるかというツイート集。
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